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CADの操作など基本的な作業から教えてもらいました
入社1年目は製造現場を経験し、2年目から設計を担当するようになりました。最初に覚えたのはAutoCADの操作方法です。先輩から説明を受けた後、課題を基に簡単な図形を作り、それを複製し、寸法線を引くことを繰り返して回路図が書けるようになりました。そのほか、簡単な分電盤の外形図を模写したり、外観を変更したりする練習もありました。
その後、先輩の実務を手伝うかたちで図面上の文字修正や表示灯の数を増やす作業を任せてもらうなど設計に必要となるスキルを身につけていきました。また、あわせて部品や板金の手配、注文書のスキャンデータの保存など設計部で必要な事務作業も教わりました。
このように仕事を覚えていく中で実感できたことが二つありました。
一つは自分の作業スピードが確実に早くなっていくこと。もう一つは、いろいろな造船所から送られてくる資料を見て「こんな盤があるんだ」「こういう制御をしているんだ」「この製品はこんなところに使われるんだ」と視野が広がったことです。こうした資料は主電源系統や照明系統、通信・航海系統などを合わせると、時に700ページにもなりますが、船の全体像がわかるだけでなく設計に関する情報の宝庫とも言えます。設計に携わる身としてはこのような資料を読むのもおもしろいですね。
02
経験を重ねても確認作業は慎重に行うようにしています
初めて自分の案件として担当したのは簡単な分電盤でした。流用できる図面を基にブレーカーの容量や個数、通電先の名前を変更する作業です。一文字のミスも許されない緊張感の中、設計から確認まで慎重に行いました。
仕事に慣れると操舵室集合盤を担当することが増えました。操舵室集合盤とは速度計や水深計測機器、信号灯や船内照明の遠隔操作スイッチ、火災や浸水など警報装置など航海に必要な機器が組み込まれた装置で、当社では幅1600ミリから3000ミリまで船のサイズなどに合わせてオーダーメイドで製品を作っています。
操舵室集合盤の製造は、まずメーカーから造船所に納品されたそれぞれの機器類を当社が預かり、それらを「盤」の中の限られたスペースに配置・配線していきます。最終的に造船所で船内に設置しやすくなるように仕上げていくのですが、製造部門で円滑に作業できるよう、設計図や配線図を作るのが設計部門の役割です。部内で図面をチェックしていますが、万が一設計ミスがあればその後の工程に支障をきたすため気が抜けません。
03
造船所では自分と同じ名前の船に乗ったこともありました
頻度は高くありませんが、造船所などに出かけることもあります。初めて造船所を訪問したのは入社3年目のときで、勉強のため先輩に同行させてもらいました。会議室内での打ち合わせを先輩の隣で聞いているだけでしたが、とても緊張したのを覚えています。
造船所では船に乗ることもあります。初めて船に乗ったのは、検査段階で警報ブザーがうまく作動しないことがわかり、 盤の中に組み込んでいたプログラムを修正するためでした。そのときは作業に気を取られ船に乗っているという感覚もありませんでしたが、今思えばその船が私と同じ名前(読み方は違いますが)だったのは何かの縁だったのかもしれませんね。
そのほか、漁船に搭載された制御装置のソフトの改良のため、上司と一緒に四国まで行ったこともあります。こうした機会は自分の仕事が船の運航に貢献できていることをいっそう実感できる貴重な体験だと思っています。
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小さな間違いや改善点を
もっと自分で見つけられるようになりたいです
「成長」という観点から今までを振り返ってみると、最初は覚え、理解するだけで精一杯でした。それが「だんだん仕事がわかってきた」という気持ちに変わってきたのは設計を始めて1年くらい経ってからです。図面を通して船全体をイメージし、時には造船所から届いた系統図の誤りを指摘できるようにもなりました。
さらに、「ここさえ抑えておけば大丈夫」というポイントや「ここは確実に見ておかなければいけない」という箇所も判断できるようになりました。任せてもらう仕事の種類や量も増え、効率を考えながら業務を進めています。
また、最近では入社2年目のベトナム出身の方と一緒に働くようになり、仕事を教える機会も増えました。私自身、まだまだ先輩などから言われて気づくことも多いのですが、教えることを通じて自分で気づいてほかの人に向けて発信する力を養っていきたいです。